小国び塾活動日誌

藤浩志プロデュースによる「小国び塾」参加メンバーが、坂本善三美術館の収蔵品から発想して取り組む「アートなプロジェクト」の記録です。

『風土ーオーロラおばけ』ハルノシュ

今年のはじめ,小学4年生(よしたけしのちゃん)が描いた漫画を造本した。

題名は『よしたけ しのちゃんのまんが』。和綴じで20ページ。f:id:sakamotozenzo:20170812175905j:plain

内容は,おばけに関するものがほとんどで,18編入っている。

7月の終わり,久しぶりに しのちゃんに会った。話をしたら,しのちゃんは現在,学級で『おはけ係』をしているとか・・・。せっかくなので,『坂本善三美術館 おばけ計画 2017』のワークシートを書いてもらった。そのとき,しのちゃんは色々なおばけを描いたのだが,その中に『オーロラおばけ』というのがあった。

説明によれば,小さなおばけがオーロラを食べると,その表面がオーロラ模様になるという。その小さなおばけを 中ぐらいの別のおばけが食べると,それがオーロラ模様になり,そのまた別の大きなおばけが中ぐらいのおばけを食べると,今度は大きなおばけがオーロラ模様になる。その様子が5匹のおばけで描いてあった。f:id:sakamotozenzo:20170812180029j:plain

 

このスケッチを見ながら坂本善三が1966年に描いた『風土』を思い出した。自分の中で善三の『風土』はなぜだか,オーロラのイメージなのだ。(坂本さんはオーロラが見えるフィンランドでも1987年にリトグラフを発表している。)f:id:sakamotozenzo:20170812180129j:plain

そこで早速,この5匹のおばけを作ってみることにした。(これに使った風船張子の技法はしのちゃんのお兄さんである宗ちゃんが自ら張子制作していたことにヒントを得た。)

『風土−オーロラおばけ』に限らず,このおばけシリーズは,誰かの内的な感情や心象を感じ取ることが大切だ。作品を全部自分でつくるのではなく,誰かのイメージをうまく汲み取り,坂本善三作品の表象借りつつ,新たに立体的なものに生まれ変わるよう心がけている。