小国び塾活動日誌

藤浩志プロデュースによる「小国び塾」参加メンバーが、坂本善三美術館の収蔵品から発想して取り組む「アートなプロジェクト」の記録です。

小国の街角からは今回おやすみです たねもしかけも

展示のコンセプトは早々に決まったものの、作品がなかなか見えてこない悩ましき日々を送っております。今回の企画は坂本善三さんの作品をじっくり読み解くことが第一の目的でありますので、たまには散歩せずじっくり思考してみる時間も大切です。

 

今回学芸員さんからお題としてご提案頂いた作品「壁A」は、坂本善三さんが47歳の時に旅先の欧州で描かれました。学芸員さんの解説によると、当時の欧州は薪を燃料とした暮らしで、壁面が煤けた灰色の世界でした。組積造の矩形壁面が水平垂直に積み重なって建物が構成されている様子に、建物に構造があることを発見した善三さんは絵画にも構造が不可欠であると悟りました(坂本善三年譜より引用)。これを機に具象から抽象的な表現へと進むようになったというのも非常に興味深く、絵画が純粋芸術として独立した存在であるという善三さんの強い意志を感じて、とても勇気を与えてもらいました。この作品に対して私はどう解釈し何を返答することが出来るのだろう。

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今回私は「床A」というテーマで、「腰掛けてゆっくり鑑賞することを促す冶具」を制作することにしました。とはいっても、上の写真にある3点のルールのとおり、新たには作りません。町内に既にあるもので構成する。簡単なようでなかなか難しいんですよこれが、と言ったところで何も生まれないので明日はまた散歩に出かけます。