小国び塾活動日誌

藤浩志プロデュースによる「小国び塾」参加メンバーが、坂本善三美術館の収蔵品から発想して取り組む「アートなプロジェクト」の記録です。

『青稲(あおいな)くん』ハルノシュ

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 福岡から熊本に向かった9月30日,大分県日田の井上酒造に寄った。酒蔵を見学させて頂いたのだが,神棚が要所要所に祀られているのを見て,御幣は雷みたいだと思った。

 善三美術館に着いて,学芸員の方と『青い稲妻』シリーズについてお話した。その時,はじめて“御幣”のイメージの基が“雷”であるのを知った。もっと勉強してから『青い稲妻』シリーズをつくればよいのに,恥ずかしながら,そのことにきちんと気づいていなかった。「形:1976」を通して,御幣が雷に生ま変わっているようだ,と本来と逆のイメージを感じ取っていたのだ。

 最初に作った「形:1976ー青い稲妻Ⅰ」を美術館の方々に披露したとき,「なぜ,この稲妻は痛そうな目をしているのですか?」と聞かれた。

 善三さんの「形」(1976)を見たとき,稲妻がなんとなく夫々に愛らしく感じられた。高い所で楽しそうにみんなでぶら下がっている様に見えたのだ。f:id:sakamotozenzo:20171007210046j:plainf:id:sakamotozenzo:20171007210104j:plain

 

 でも,雷様も,落ちるときには“怖いはず”。地上何百メートルのところからものすごいスピードで降下するのは“勇気がいる”だろう。だから,ジェットコースターで急降下するときに多くの人々が目をつぶるのと同じような表情にしたのだった。

 「形」(1976)は大きな作品だ。収蔵庫で見せてもらうにしても,手間がかかりそうだった。なので,実際の作品に触れることなく制作に臨んだ。従って,ほとんどこの作品に関して,誰かと対話をすることがあまりないまま制作を進めることになった。

 今回の「形:1976ー青い稲妻」シリーズは,これから様々な方との対話を深めながら,色々とアレンジできればいいなと感じている。