小国び塾活動日誌

藤浩志プロデュースによる「小国び塾」参加メンバーが、坂本善三美術館の収蔵品から発想して取り組む「アートなプロジェクト」の記録です。

たねもしかけもさんのプロジェクト

展示順にひと作品ずつ紹介します。

 

f:id:sakamotozenzo:20171126162841j:plain

 作者名:たねもしかけも(建築家)

プロジェクト名:「床A」

坂本善三作品名:「壁A」 油彩・キャンバス 1958年

 

 

【学芸員より一言】

「壁A」は、坂本善三がヨーロッパ留学中に描いた作品で、作風が抽象へと変わっていく大きな転機となった作品の一つです。小国町在住の建築家 たねもしかけもさんは、「壁A」に対して「床A」を作ろうと考えました。垂直の「壁」と水平の「床」を対比させ、がっちりと存在する作品を、ゆるりとリラックスした場所から鑑賞する装置を制作するというプロジェクトです。

作るにあたり、たねもしかけもさんは自分に次のような課題を課しました。

・くつろぎのパターンを小国町内でリサーチする。

・町内に既にあるもので作る。

・新たに作らない。

日々建築家の目線で小国を散歩しながら見つけたものは、何とも工夫のこらされた農作業の道具でした。本来労働とともにある道具が、ここではきれいに磨いて塗りなおされ、私たちをゆっくり絵に向き合わせてくれます。そして何よりも私たちの心をほどくのは、クスッとしてしまうフォルムにあらわれた人々の工夫。世の中はおもしろいもので満ちていると思い知らされます。

f:id:sakamotozenzo:20171126164245j:plain

f:id:sakamotozenzo:20171126164319j:plain